スレートは価格が安く、耐火性や遮音性、防水性、耐候性、耐久性に優れた建材です。屋根や外壁、内装材などさまざまな箇所で採用されています。
しかし、1960年代から2006年までに生産されたものの多くには、強度や耐久性を向上させる目的で、人体に有害なアスベストが含まれている場合があります。気になる人はどのように見分けるのかチェックしてみてください。
本記事では、アスベスト含有のスレートの危険性や見分け方、含有されていた場合の対処法などについて紹介します。
【この記事で分かること】
・アスベストを含むスレートの危険性
・アスベストを含むスレートの見分け方
・スレートにアスベストが含有していた際の対処法
アスベスト含有のスレートの危険性
アスベストを含有するスレートは、「レベル3(非飛散性)」に分類されており、ほかのレベルと比べて健康リスクは低いとされています。
ただし、劣化もしくは破損していると、アスベストが飛散する可能性があり、それを吸引することで疾患が起きる危険性もあります。
そのため解体工事の際は、ばく露や飛散の防止措置が必要です。解体で発生した廃棄物も適切に処理しなくてはなりません。
石綿含有建材のレベル分類のうちレベル3に該当するものは、石綿スレートを含めて以下の通りです。
①石綿スレート
②けい酸カルシウム板第一種
③住宅屋根用化粧スレート
④押出成形セメント板
⑤窯業系サイディング
⑥パルプセメント板
⑦スラグせっこう板
⑧フロー材
⑨ロックウール吸音天井板
⑩石膏板(ボード)
⑪石綿円筒
⑫ビニル床タイル
⑬その他石綿含有成形板
スレートのアスベスト含有の見分け方
スレートにおけるアスベスト含有の見分け方は以下の6通りあります。
- 石綿含有建材データベースで確認する
- 建築物の施工年度で判断する
- 図面・仕様書から判断する
- 劣化具合から判断する
- 建材メーカーのホームページから確認する
- 分析調査を行う
特に建築物の解体・改修時には、有資格者による事前調査が必須です。
具体的な見分け方については下記リンクを参照してください。
石綿含有建材データベースを確認する
石綿含有建材データベースは、国土交通省および経済産業省が運営しており、建材メーカーが過去に製造したアスベスト含有建材の種類、名称、製造時期、アスベストの種類・含有率等の情報が掲載されています。
実際に使われているスレートの建材名や製造年数がわかれば、石綿含有建材データベースを参照してアスベストが含まれているのか判別可能です。
建築物の施工年度で判断する
アスベストの含有は、施工年度でも判断できます。建築物の施工年度で判断する場合は、竣工年や改修年に注目しましょう。
アスベストの使用が原則禁止となった2006年以降の建築物であれば、アスベストが含まれている可能性が低いです。
ただし、ノンアスベストスレート自体は1990年代からすでに流通しています。2006年以前に作られた建築物であったとしても、スレートにアスベストが含まれていない可能性は十分に考えられます。
もし、アスベストの有無を正確に知りたい場合は、ほかの方法と併せて判断しましょう。
図面・仕様書から判断する
引用:石綿(アスベスト)含有建築材料 シンポジウム2004中小規模物件での使用と対策の実情
建材の製品名や製造時期は図面に記載されているケースがあります。そのため図面・仕様書に書かれた情報をもとに、アスベストが含まれているか調べることも可能です。
しかし、実際には図面に記載の情報とは異なる建材が使用されている可能性もあります。不安な方は、ほかの方法も検討してみてください。
劣化具合から判断する
アスベストが入っていないスレート(ノンアスベスト)は、アスベスト含有のスレートと比べて劣化しやすいという特徴があります。たとえば築10年近く経過しているノンアスベストのスレートは、小さなヒビの発生など、不具合が発生しているケースが多くみられます。
一方でアスベストを含むスレートは大きな損傷がなく表面が風雨でざらつき、コケや藻の発生が目立つ程度です。そのため、20年以上経っても大きな劣化が見られないのであれば、そのスレートはアスベストが含有している可能性が高いといえます。
建材メーカーのホームページから確認する
スレートに型番やメーカーが記載されている場合は、建材メーカーの資料やリスト、ホームページからアスベストの有無を確認できます。例えばケイミューの公式HPでは、クボタと松下電工(パナソニック)の製品情報を確認可能です。
雨風で型番やメーカー名が消えている場合は、ほかの方法で判断する必要があります。
分析調査を行う
アスベストの有無は目視では判別が難しく、表面の模様や製品名、製造年などの情報から推測するにしても、多くの時間や手間がかかってしまいます。
また法改正により、2023年10月1日から解体工事や改修工事に伴うアスベスト調査を行う場合は、有資格者による調査が義務付けられました。
アスベストジャッジでは、専門資格を持つスタッフが分析調査を行っています。スレートの分析調査をご検討の際は、ぜひご相談ください。
スレートにアスベストが含有していた時の対処法
スレートにアスベストが含まれている場合、その建築物を解体するのであれば、アスベストの除去とあわせて解体工事を行います。
建築物を解体せずに改修を行う場合は、カバー工法や葺き替え、塗装工法などで対応するのが一般的です。
どちらの方法もアスベストがほかの廃棄物と混ざらないよう、最初にアスベストを除去する必要があります。
その際には、アスベストの飛散を防止するため、可能な限り切断や破砕などを行わず、原形のまま取り外すことが重要です。
また、作業後の清掃を確実に行うため、必要に応じて養生を施し、粉じんの発生が予想される場合は、高性能真空掃除機などで粉じんを吸引するといった措置をとる必要があります。
処分費用の目安はアスベストの有無によって大きく異なり、それぞれ以下の通りです。
アスベスト含有スレート | アスベスト非含有スレート |
---|---|
30,000~40,000円/1㎡ | 10,000円/1㎡ |
スレートを含むアスベストレベル3の除去、解体工事の手順は下記のページで紹介しています。
まとめ
スレートにアスベストが含まれているかどうかは、建材の使用年代や着工年代から確認できます。そのうえで、建築物の解体、改修時には有資格者による事前調査や報告が必要です。
スレートのアスベスト調査をご検討中の方は、アスベストジャッジにお任せください。
調査後に提出される報告書は行政基準を満たしているので、許可申請にもそのまま使用できます。
静岡県中部エリアであれば採取を含めた現地調査も可能です。自治体とのやり取りや提出に関するサポート体制も完備しているため、初めてアスベスト調査を依頼する方でも安心してお任せいただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。