アスベストとグラスウールどちらも高い機能性を持つ建材です。外見が似ているため混同されがちですが、両者はまったくの別物です。
アスベストは天然の鉱物繊維で、かつては優れた建材として広く使われていました。しかし、深刻な健康被害を引き起こすことから、現在は使用が全面禁止されています。
一方、グラスウールはガラスを原料とした人工の鉱物繊維で、安全性が高いことから現在も住宅やビルの断熱材として使用されているのが特徴です。
この記事では、アスベストとグラスウールの違いや見分け方について、詳しく解説します。
【この記事で分かること】
・アスベストとグラスウールの原料・製造過程・性能などの違い
・グラスウールとアスベストを見分ける6つの方法
・アスベストが発見された場合の適切な対処法
アスベストとグラスウールの違い
まずは、アスベストとグラスウールの基本的な違いを表で確認しましょう。
| 項目 | アスベスト | グラスウール |
|---|---|---|
| 画像 | ![]() | ![]() |
| 原料 | 蛇紋石や角閃石などの鉱物繊維 | リサイクルガラスなどの人工鉱物繊維 |
| 製造過程 | 鉱山から採掘された原石を機械で粉砕し、繊維を分離・選別する | 原料を高温で溶かし、液体状になったガラスを遠心力で吹き飛ばして繊維を作る |
| 見た目の特徴 | 灰色・白色・茶色・青みがかった色など種類によって色が異なり、繊維が細く綿状に見える | 灰白色〜黄褐色、繊維が比較的太く、ふわふわした外観 |
| 主な用途 | 吹付け耐火材、スレート板、床材、配管保温材、自動車部品など | 断熱材、吸音材、防火被覆材、屋根裏や壁内部の充填材 |
| 性能 | 対価性・耐熱性・耐久性・耐薬品性・絶縁性・防音性に優れており、メンテナンスコストを抑えられるが、安全性に大きな問題あり | 耐火性・断熱性・吸音性に優れ、腐食や虫害に強い耐久性がある |
| 危険性 | 発がん性があると断定されており、繊維が肺のなかに侵入すると、肺がん、中皮腫などの原因となる | 発がん性は指摘されておらず、体内に吸入されても短期間で排出される |
| 法規制 | 2006年9月1日以降、製造・使用等が全面禁止されている | 特に法規制はされていない |
| 使用年代 | 1950年代~2006年8月31日まで | 1970年代頃から普及し、現在も広く使用されている |
ここでは各項目についてくわしく解説します。

原料

アスベストは、蛇紋石(じゃもんせき)や角閃石(かくせんせき)といった、自然界に存在する鉱物が繊維状になったものです。日本では主にクリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)が使用されてきました。
一方、グラスウールの主原料は、ガラス瓶や板ガラスなどのリサイクルガラスです。回収されたガラスを高温で溶かし、繊維状に加工して作られる人造鉱物繊維で、資源を有効活用した環境に優しい建材ともいえます。
製造過程
アスベストは鉱山から採掘された原石を機械で破砕・粉砕し、繊維を分離・選別するという工程で作られます。繊維の太さや形状は自然の状態に依存するため、非常に細く鋭い繊維が生成されるのが特徴です。
グラスウールは、リサイクルガラスなどの原料を高温で溶かし、液体状になったガラスを遠心力で吹き飛ばして細かい繊維を作ります。メーカーは繊維の直径を人体に影響を及ぼさない太さになるように設計しており、安全性に配慮して製造されるのが特徴です。
見た目の特徴
アスベストは、柔らかい綿のような見た目をしています。色は灰色、白色、茶色、青みがかった灰色などが多く、グラスウールよりもくすんだ印象を受けることが一般的です。
グラスウールは比較的繊維が太いため、光が当たるとキラキラと輝いて見えるでしょう。色は鮮やかな黄色や白色のものが多く、手で触れるとチクチクとした感触があるのが特徴です。
ただし、長年の汚れやホコリで両者とも黒ずむ場合があるため、見た目だけでの判断には限界があります。
主な用途
アスベストは以下のような場所に使用されてきました。現在は粉じんの発生しやすさに応じて、次のようにレベル分けがされています。
| レベル1(吹付け材): 鉄骨の耐火被覆、機械室や駐車場の吸音・断熱 レベル2(保温材・断熱材): ボイラー本体や配管の保温材、煙突の断熱材 レベル3(成形板など) |
一方、グラスウールも住宅やビルの壁、天井、床下などの断熱材として、広く使われています。ほかにも空調ダクトの保温材や、自動車の防音材など、現在も多くの建築現場で採用されているのが特徴です。
性能
アスベストは高い耐熱性・耐火性に加え、摩擦や酸・アルカリにも強い耐久性・耐薬品性、電気を通さない絶縁性、引っ張り強度にも優れています。
さらに耐久性も高くメンテナンスコストを抑えられるため、昔はさまざまな製品に多用されていました。しかし、重大な健康リスクが潜んでいることが明らかになっています。
グラスウールは断熱性と吸音性に優れています。無数の細いガラス繊維が複雑に絡み合い、内部に大量の動かない空気の層を作り出すことで、熱を伝えにくい性質を持つ空気を固定し、高い断熱性能を発揮する仕組みです。
また、グラスウールは繊維内の空間に空気を有しているため、音を効果的に吸収します。ほかにも、原料がガラスであるため燃えにくく、腐食や虫害に強いのも特徴です。
危険性

引用:世界保健機構の国際がん研究機関におけるヒト発がん性分類
WHOの専門機関であるIARC(国際がん研究機関)は、アスベストを発がん性リスク分類において「グループ1」に分類しています。グループ1は「ヒトに対して発がん性がある」と断定されている危険な物質です。
アスベストは空気中に飛散すると長時間浮遊し、呼吸によって肺の最深部まで到達します。
アスベストの繊維は非常に硬く尖っているため、一度肺の組織に突き刺さると、体内の免疫細胞でも分解・除去できません。
体内に侵入したアスベスト繊維は数十年という長い潜伏期間を経て、石綿肺、肺がん、悪性中皮腫といった治療が困難な病気を引き起こすのです。
一方、グラスウールは発がん性リスク分類において「グループ3」に分類されています。グループ3は「ヒトに対する発がん性に分類できない」というカテゴリーで、ナイロンやお茶などと同じ扱いです。
グラスウールの繊維の直径は4〜9マイクロメートルで、アスベストの数十倍から数百倍も太いです。呼吸で吸い込んでも鼻や気管でほとんどが捕捉され、肺の奥深くにある肺胞までは到達しないでしょう。
もし肺に入ったとしても、グラスウールは体液に溶けやすい性質を持っているため、短期間で体外に排出され、体内に蓄積することはありません。
法規制
アスベストは健康被害が明らかになるにつれて段階的に規制が強化されました。2006年以降は、アスベスト含有率が0.1重量%を超える製品の製造、輸入、使用等が原則として全面禁止となっています。
グラスウールは安全性が確認されているため、製造や使用を制限する法規制はありません。現在も住宅や建築物で広く使用され続けており、今後も断熱材の主要な選択肢として活用されるでしょう。
使用年代
アスベストは1950年代から建材として使用されはじめ、高度経済成長期を経て、その使用量は1960〜1980年代にかけてピークを迎えました。しかし、前述の法規制により段階的に使用は減少し、2006年9月以降に着工された建物には、原則としてアスベストは使用されていません。
グラスウールは1970年頃から住宅用断熱材として使われるようになりました。その後、省エネ基準の強化とともに普及が進み、断熱材の多くにグラスウールが使用されるようになっています。

グラスウールとアスベストの見分け方
アスベストとグラスウールは見た目が似ているため、判別するのは困難です。しかし、いくつかの方法を組み合わせることで、ある程度の推測は可能です。
ここからは、グラスウールとアスベストを見分ける方法を紹介します。

見た目で判断する
最も手軽にできる判別方法は、目視による確認です。
吹付けアスベストは灰色、茶色、青みがかった色など、くすんだ色合いであることが多いです。一方、グラスウールは新品であれば鮮やかな黄色や白色をしており、光を当てるとキラキラと反射することがあります。
ただし、長年のホコリや汚れで、グラスウールもアスベストも黒ずんでしまい、色の判別がつきにくくなるケースもあります。
また、アスベストはセメントなどに混ぜられて板状の建材として使われることも多いため、見た目だけでアスベストの有無を判断するのは難しいでしょう。
目視確認はあくまで初期段階の判断材料として捉え、最終的には専門家に分析調査を依頼することをおすすめします。
石綿含有建材データベースを活用する
国土交通省や経済産業省などが公開しているデータベースには、過去に製造・販売されたアスベストが含まれている建材の情報がまとめられています。
設計図書に記載されている建材の商品名、メーカー名、または不燃認定番号などを入力して検索すると、その建材にアスベストが含まれているか確認可能です。
ただし、データベースに掲載されていないアスベスト建材も存在します。データベースに載っていないからといって、アスベストが含まれていないことの証明にはならないため、ほかの方法も検討しましょう。
建築物の施工年度で判断する
建物の着工年月日からもアスベスト含有リスクを判断できます。着工年月日が1975年以前だった場合は、吹付けアスベストが使用されているリスクが高いです。
また、2006年9月1日以降は、アスベストを含む製品の製造・使用が原則全面禁止となりました。この日以降に着工された建物はアスベスト含有のリスクが低いといえます。
ただし、規制前に製造された建材の在庫が使用された可能性もゼロではありません。年代はあくまで判断材料と捉え、確実性を求める場合は専門機関による分析調査を依頼しましょう。
分析調査を依頼する
これまで紹介してきた5つの方法は、いずれも「アスベスト含有の可能性があるかどうか」を調べる方法です。アスベストの有無を確実に調べるには、専門機関に分析調査を依頼する必要があります。
建築物の解体・改修工事前は分析調査が義務付けられており、法令遵守のためにも必須です。
アスベストの調査はアスベストジャッジにお任せください。資格を持った専門家が迅速かつ正確な分析調査を提供します。まずはお気軽にご相談ください。
グラスウールではなくアスベストだった場合の対処法
事前調査でアスベスト含有建材が発見された場合は、専門業者がその飛散リスクや現在の状態を踏まえ、対策工事を行います。
主な工法は以下の3つです。
- 除去工法
- 封じ込め工法
- 囲い込み工法
除去工法は、アスベストが含まれた建材をすべて撤去する作業です。建物を解体する場合は、この工法が必須となります。ただし、厳重な隔離養生などが必要になるため費用も高額です。
封じ込め工法は、アスベスト含有層に薬剤を吹き付けたり塗布したりして、繊維を固めて飛散を防ぐ方法です。除去に比べて費用や工期を抑えられますが、アスベスト自体は残るため、将来建物を解体する際には改めて除去が必要になります。
囲い込み工法とは、アスベストを含有する部分の外側を、パネル状の非アスベスト材などを用いて隙間なく覆い、物理的に切り離す作業を指します。こちらもアスベストは残存するため、定期的な点検や将来的な除去が必要です。
どの工法を選択するかは、建材の劣化状況、建物の今後の利用計画、予算などをもとに判断されます。
業者を選ぶ際は、必要な資格や許可を保有し、豊富な実績と法令遵守の意識が高い信頼できる専門業者に依頼しましょう。
まとめ
アスベストは天然の鉱物繊維で、昔は石膏ボードや断熱材をはじめ、建材として使われてきました。しかし、深刻な健康被害を引き起こすことから2006年以降は使用が全面的に禁止されています。
一方、グラスウールはリサイクルガラスから作られる安全性の高い人造繊維で、現在もアスベストに代わり断熱材や配管の保湿材など広く使用されています。
アスベストとグラスウールは、色や質感、建物の築年数などからある程度の推測はできますが、正確な判定には、専門家による分析調査が必要です。
また、工事の規模にかかわらず、着工前には有資格者によるアスベスト調査が法律で義務付けられています。健康被害を防いで法令を遵守するためにも、まずは専門家に相談しましょう。
アスベスト調査をご検討中の方は、ぜひアスベストジャッジにお任せください。調査費用は1検体あたり12,000円+税(3営業日で対応)実施いたします。即日(1営業日)であれば、1検体あたり19,800円+税で調査可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。
静岡県内(静岡中部エリア)での現地調査や建材採取に対応しているほか、調査に加えて解体や片付けも対応可能です。







