石膏ボード(プラスターボード)は防火性、断熱性、吸音性、寸法安定性に優れており、価格も安く、加工しやすい建材です。主に壁や天井などの強度を上げる目的で使用され、ビルやマンション、学校、病院、商業施設など、多くの建築物に採用されています。
しかし、石膏ボードの年代によっては人体に有害とされるアスベストが含まれている可能性があります。
石膏ボードにアスベストが含まれているのか見分ける際は、防火材料認定番号や建築物の施工年度をチェックしてみてください。
今回はアスベストを含有した石膏ボードの危険性や見分け方を紹介します。
【この記事で分かること】
・アスベストを含む石膏ボードの危険性
・アスベストを含む石膏ボードの見分け方
・石膏ボードにアスベストが含有していた場合の対処法
アスベスト含有の石膏ボードの危険性
アスベストを含有する建材の撤去作業は、発じん性に応じて3段階のレベルに分類されます。比較的発じん性が低い「レベル3」に該当する建材は以下の通りです。
①石綿スレート
②けい酸カルシウム板第一種
③住宅屋根用化粧スレート
④押出成形セメント板
⑤窯業系サイディング
⑥パルプセメント板
⑦スラグせっこう板
⑧フロー材
⑨ロックウール吸音天井板
⑩石膏板(ボード)
⑪石綿円筒
⑫ビニル床タイル
⑬その他石綿含有成形板
石膏ボードは発じん性が比較的低い「レベル3」に含まれますが、アスベストが飛散する可能性は十分にあります。
仮にアスベストの粉じんが皮膚に付着してしまった場合、皮膚炎などの健康被害を引き起こす可能性があります。また粉じんの吸引によって、疾患が発症するリスクもゼロではありません。
そのため解体工事の際は、飛散やばく露を防止する措置を講じ、適切に処理する必要があります。
石膏ボードにおけるアスベストの有無の見分け方
石膏ボードにおけるアスベスト含有の見分け方は以下の6通りです。
- 防火材料認定番号で見分ける
- JISマークで見分ける
- 石綿含有建材データベースで確認する
- 建築物の施工年度で判断する
- 設計図書などから特定する
- 分析調査を行う
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
なお、建築物の解体・改修時には、有資格者による事前調査が必須です。
石膏ボード以外の具体的な見分け方は下記リンクを参照してください。
防火材料認定番号で見分ける
防火材料認定番号の頭文字でアスベストの有無を見分けることができます。
頭文字が「NM…」もしくは、「QM…」ではじまる石膏ボードは2002年(平成14年)5月17日以降に製造されているため、アスベストは含まれていません。
また一般社団法人石膏ボード工業会は、アスベストを含有する石膏ボード製品を下記のように公開しています。
No. | 製品 | 防火材料認定番号 |
---|---|---|
1 | 9㎜厚 準不燃石膏吸音ボード | 第2006号、第2019号 |
2 | 9㎜厚 化粧石膏吸音ボード | 第2014号、第2010号 |
3 | 7㎜厚 アスベスト石膏積層板 | 第1012号 |
4 | 9㎜厚 アスベスト石膏積層板 | 第1013号 |
5 | 9㎜厚 グラスウール石膏積層板 | 第1014号 |
6 | 9㎜厚 不燃石膏積層板 | 第1004号 |
7 | 7㎜厚 準不燃アスベスト石膏積層板 | 第2008号 |
※1 | 15㎜厚 ガラス繊維網入り石膏ボード | - |
※2 | 12㎜厚 化粧石膏板(個別認定) | (個)第1425号 |
※1:1977年〜1986年に吉野石膏(株)で製造され、厚さが該当するものが対象
※2:1977年〜1981年にチヨダウーテ(株)で製造されたもの、製品裏面に社名として千代田建材工業株式会社・防火材料認定番号が表記されているものが対象
このうちNo.1~7の製品は、厚さと、設計図書、石膏ボード製品の裏面に記載された防火材料認定番号から判別できる場合があります。
ただし、防火材料認定番号が第2014号、第2019号、第1004号の製品は、アスベスト使用停止後も同じ認定番号を使用しているケースがあります。
第2014号、第2019号、第1004号の製品に関しては、防火材料認定番号だけでなく、製造者と使用時期の特定も必要です。
また、経年劣化などで裏面の防火材料認定番号が消えているケースがあり、そもそも工事開始前にボードの裏面を確認することが難しいケースも多いです。確認が難しいようでしたら、ほかの方法も検討しましょう。
現行のJISマークかどうかで見分ける
JISマークとは、国に登録された機関から認められた事業者だけが、認証を受けた鉱工業品等に対して表示できるマークです。日本の工場規格に適していることを示します。このJISマークの形状や記載内容から、石膏ボードの製造年代を推定できることがあります。
現行のJISマークが表示されている石膏ボードは、2008年(平成20年)10月1日以降に製造されたものであるため、アスベストは含まれていないと判断できます。
石綿含有建材データベースを確認する
石綿含有建材データベースから石膏ボードの情報を検索すれば、アスベストが含まれている石膏ボードかどうかの判別が可能です。
このデータベースは、国土交通省および経済産業省が運営するものです。建材メーカーがこれまでに製造したアスベスト含有建材の種類や名称、製造時期、アスベストの種類・含有率などの情報が掲載されています。
建築物の施工年度で判断する
アスベスト入り石膏ボードの製造時期を推定する方法は、以下の通りです。
- 建物の竣工年や改修年から推定する
- 石膏ボードの表面に記載されている製造年月日から推定する
各メーカーが公表している内容によると、基本的に1986年(昭和61年)までアスベストを含む石膏ボードが製造されていたことがわかっています。しかし、1986年以降も流通していた可能性を完全には否定できないため、あくまでも目安に過ぎません。
アスベストの有無の判断は、アスベストが確実に使用されなくなった2006年が目安です。これより前に着工した建造物の石膏ボードは、アスベストを含有しているリスクがあります。
設計図書などから特定する
設計図書や建築仕様書を確認すれば、アスベストを含む石膏ボードの使用を判断できます。これらの資料には、建設当初に使用されていた建材の詳細情報(防火材料認定番号)や着工日が明記されていることが多いです。
さらに建物の施工記録や納品書、購入明細書などもアスベストの含有を判断する際に有効です。
分析調査を行う
アスベストの含有を目視で判別するのは難しく、表面意匠や製品名、製造年などの情報からの推測には限界があります。そのため、専門業者へ依頼して分析調査を行うのが最も確実です。
特に建築物の解体・改修時には、有資格者による事前調査が必須になります。分析機関にサンプルを送りアスベストの有無を調査してもらいましょう。
石膏ボードのアスベストの分析調査は、アスベストジャッジにお任せください。専門資格を持ったスタッフが石膏ボードの分析調査を実施いたします。
石膏ボードにアスベストが含有していた時の対処方法
石膏ボードにアスベストが含まれている場合は、飛散防止のために原形のまま取り外す必要があります。
さらに取り外した石膏ボードは、他の廃棄物と混ざらないように最初に除去し、適切な分別が必要です。
解体作業では、作業後の清掃を確実に行うために養生を実施します。粉じんが発生する可能性がある場合は、安全のために高性能真空掃除機などによる吸引も不可欠です。
建築物の解体や改修の前には、建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化されています。
石膏ボードを含むアスベストレベル3の除去や解体工事の手順は、下記ページで詳しく紹介しています。こちらも参考にしてください。
まとめ
石膏ボードのアスベスト含有は、防火材料認定番号やJISマークから判別できます。そのうえで建築物の解体、改修時には有資格者による事前調査や報告が必要です。
建築物のアスベスト調査を検討中でしたら、アスベストジャッジにお任せください。
アスベストジャッジなら石膏ボードの分析調査を12,000円+税(1検体)で対応可能です。
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調査に必要な送付セットはこちらで用意するため、お客様で用意していただくものはありません。分析依頼は電話・メールで承っております。
自治体とのやり取りや、提出に関するサポート体制も整っているため、初めてアスベスト調査を依頼する方でも安心してお任せいただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。