モルタルは主に壁の仕上げ材として使われたり、タイルやレンガ、床の接着剤として使用されたりします。モルタルを作るためには混和剤を入れる必要があり、過去にはアスベストが使われるケースもありました。
アスベスト含有のモルタルを、正しい対処法を施さずに解体・修繕を行うと、作業者や近隣住民がアスベストにばく露してしまうリスクがあります。
この記事では、モルタルにアスベストが含まれているかどうかを確認する方法や、対処法を紹介しています。解体や修繕工事に従事する方や、自社で建物を補修している方は参考にしてください。
【この記事で分かること】
・モルタルが使われている場所
・モルタルにアスベストが使われているか調べる方法
・モルタルにアスベストが使われていた際の対処法
アスベストは混和剤としてモルタルに使用されていた
モルタルには、強度や耐火性を高めるための混和剤が使われます。アスベストは、モルタルの混和剤に適しているとされ、1960年代以降広く使われていました。
ここでは、モルタルが使われている箇所や、モルタルの種類について紹介していきます。
モルタルは主にどこに使用される建材?
モルタルは、主に土間や外壁の仕上げ、タイルやレンガの接着、塗装下地などに使われます。
具体的な使用場所はそれぞれ下記のとおりです。
【仕上げ】
- 土間
- 通路
- スロープ
- 階段
- 門や塀の天端仕上げ
- 外壁
【接着】
- タイル
- 石材
- レンガ
【下地調整】
- ペンキ・塗装下地
- 防水下地
- タイル下地
- ブロック塀下地
また、建物の外だけでなく中にも使われている可能性があります。接着剤として細かな場所に使用されていることもあります。
アスベストを含有したモルタルが使用された背景
モルタルの混和剤としてアスベストが使用された理由には、以下が挙げられます。
- 価格が安く建築業界で採用されやすかった
- アスベストが繊維状でモルタルに均一に広がるためひび割れ抑制に効果的
- 耐熱性に優れ、施工後の火災対策として有効
アスベストを含有したモルタルは、高温や風雨にさらされる厳しい条件下でも劣化しにくく耐久性も保てます。そのため、かつては建築現場や製造現場で多く使われました。
モルタルの種類別アスベスト含有リスク
モルタルは混和剤に何を使用するかで種類が異なります。ここでは、モルタルの種類ごとにアスベストの含有リスクを紹介していきます。
紹介するモルタルの種類は以下のとおりです。
- セメントモルタル
- 混合モルタル
- 石灰モルタル
- ポリマーモルタル
- 耐火モルタル
- エポキシモルタル
順番に解説していきます。
セメントモルタル
セメントモルタルはセメントや砂、水を混ぜ合わせて作る代表的なモルタルの一種です。内外壁の仕上げやレンガ、ブロックの接着剤として使われます。
特別な混和剤としてアスベストが使われない限り、含有リスクは低いです。解体・修繕のために、モルタルを除去する際は特別な対処は必要ありません。
混合モルタル
混合モルタルは、通常のモルタルの材料に石灰を混ぜたものです。セメントモルタルの強度に柔軟性を加え、使い勝手の良いモルタルになっています。
ただし、過去には、アスベストを混和させ耐火性を売りにした商品も発売されているので、注意が必要です。公共施設・学校・ビルで使用されている場合は、事前調査を行い、解体時の飛散を招かないようにしましょう。
石灰モルタル
石灰モルタルは、セメントの代わりに消石灰を混ぜて作ったものです。石灰モルタルは非常に古くから外壁や内壁の仕上げとして使われており、日本だけでなく海外でも利用されていました。
そのため、アスベストが盛んに利用されていた1970年から1990年代の建物では、アスベストを含有させた石灰モルタルが使用されていた可能性があります。
建築年が上記の年代に該当する場合は、モルタルが使用されている箇所を見落とさずアスベスト調査を実施しましょう。
ポリマーモルタル
ポリマーモルタルは、セメントモルタルにポリマーを混和させたものです。セメント量に対して5~20%程度のポリマーを混ぜます。セメントモルタルよりも接着力や強度が上がっており、ひび割れ対策としても使われます。
ポリマーモルタルはアスベストの規制が強まった時期に開発されたため、アスベスト含有のリスクは高くありません。しかし、アスベスト使用禁止が始まる直前であれば、含有されている可能性もあるため、建設年数を確認し、疑わしい場合は調査を実施しましょう。
耐火モルタル
耐火モルタルは耐火煉瓦用の目地材として使われます。
耐火モルタルは、800度以上の熱を加えないと固まらないため、一般的なモルタルと同じく、水を含んで使ってしまうとずっと固まらない状態になってしまいます。したがって、高温化でも耐えられる混和剤であるアスベストが含まれている可能性が非常に高いです。
ボイラー室・煙突・機械室・炉を解体するときには要注意です。
エポキシモルタル
エポキシモルタルは混和剤として樹脂(レジン)を用いたものです。接着力や曲げ強度が向上しており、防さび効果も期待できます。特徴を活かして、コンクリートの補修に用いられるケースが多いです。
エポキシモルタルは樹脂を混和剤として使用しているため、追加でアスベストを含む可能性は極めて低いです。しかし、建物の施工年数がアスベスト使用可能年数と重なっているのであれば、調査を実施して含有の有無を確かめる必要があります。
モルタルのアスベストレベル
モルタルのアスベストレベルは発じん性が低い「レベル3」に該当します。モルタルは通常、固まった状態で存在しており、解体時も固形状態のまま撤去可能です。そのため、厳重なばく露対策は必要ありません。
しかし、モルタルの種類や建物の状況によっては高レベルの除去対策が求められる可能性があります。不安な方は自治体に確認しておくと安心です。
アスベストが含有されたモルタルの確認方法

アスベストを含むモルタルは、素材に混ぜられた状態で下地として使われるケースが多いため、外観だけでは含有の有無が判断できません。さらにモルタルそのものではなく、混和材にアスベストが含まれていることも、特定が難しい要因となっています。
アスベストの確認方法には、アスベスト含有建材データベースがあります。書面調査や目視調査にて確認した建材の情報を検索すれば、アスベストが含まれているかどうかを判別可能です。
ただし、アスベスト含有建材データベースに登録されていない建材も存在するため、データベースの情報だけを判断材料にしてはいけません。建物の解体や改修前には、建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化されています。
アスベストジャッジでは、モルタルのアスベスト調査も受け付けています。
調査後に作成される報告書は行政の基準を満たしており、そのまま許可申請書類として利用できます。静岡県中部エリアであれば採取を含めた現地調査も可能です。
気になる方は以下のリンクよりお問い合わせください。
アスベストの見分け方については下記の記事で紹介しております。

モルタルにアスベストが含まれていた場合の対処方法
令和5年10月1日以降、解体対象となる建築物の工事前には、建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化されています。調査によりアスベストが含まれていると判明した場合は、発じんレベルに応じた届出を提出しなければいけません。
その後、アスベストレベル飛散防止対策を行い、解体を実施します。モルタルはアスベストレベル3に該当するため、レベル1,2ほどの厳重な対策は必要ありません。
ただし、飛散防止のために、原形のまま取り外すことを原則としています。また、除去したアスベストが他の廃棄物と混ざらないよう最初に除去し、分別する必要があります。
さらに、解体作業時は、作業後の清掃を確実に行うために状況に応じて養生し、粉じんの発生が予想される場合には高性能真空掃除機などでの吸引が必要です。作業中は作業着やマスク、ゴーグルなどの保護具を必ず着用します。
アスベストレベル3の除去方法や解体作業の手順は以下の記事で詳しく紹介しています。

まとめ
モルタルは壁や床、塗装の下地など幅広い箇所に使われる建材です。過去には機能性や耐久性を高めるために混和剤としてアスベストが使われてきました。
アスベストが混ざったモルタルは、比較的発じん性の低いレベル3ですが、外観だけ見てもアスベストの含有が判断できません。さらに、建築物の解体や改修時には、事前調査と調査報告が原則義務化されています。
アスベスト調査を検討中の方は、アスベストジャッジにお任せください。アスベストジャッジならモルタルの分析調査を12,000円+税(1検体)で調査可能です。即日(1営業日)の対応であれば19,800円+税(1検体)で調査いたします。
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