アスベストとロックウールの違いとは?見分け方と危険性を解説

ロックウールとアスベストは、見た目が似ており、専門家でなければ見分けるのが難しいです。

ロックウールとアスベストは、いずれも鉱物繊維で、用途も似ていますが、安全性が大きく異なります。特にアスベストは、健康被害を引き起こすリスクがあるため、確実に判別しなくてはいけません。

この記事では、ロックウールとアスベストの違いや見分け方、対処法を解説しています。
解体作業でロックウールとアスベストの見分け方が知りたい方は参考にしてください。

【この記事で分かること】
・ロックウールとアスベストの違い
・ロックウールとアスベストの見分け方
・アスベストが含まれたロックウールの対処法

目次

ロックウールとアスベストの違い

スクロールできます
項目ロックウールアスベスト
画像

引用:ロックウールとは|JFEロックファイバー株式会社

引用:大阪市:アスベスト関連写真・含有建築材料 (…>アスベスト>アスベストとは)
原料玄武岩や高炉スラグを高温で溶かし繊維状に加工した人工鉱物繊維クリソタイル、アモサイトなど天然に産出する鉱物繊維
見た目の特徴灰白色〜黄褐色、繊維が比較的太く綿状でふわふわした外観白色・青色・褐色など種類ごとに異なり、細かい繊維でやわらかく綿状に見える
主な用途断熱材、吸音材、防火被覆材、屋根裏や壁内部の充填材吹付け耐火材、スレート板、床材、配管保温材、自動車部品など広範囲に利用
性能耐火性・断熱性・吸音性に優れ、耐薬品性も高く安定した品質を保てる耐熱性・断熱性・絶縁性が非常に高く安価で万能だったが、安全性に大きな問題あり
危険性発がん性は指摘されておらず、安全性が高いとされる繊維が肺に入り込み、中皮腫や肺がんの原因となるため使用が禁止されており

ロックウールとアスベストはどちらも建築で広く利用されてきた繊維系建材ですが、原料や特徴、用途、危険性には大きな違いがあります。

ロックウールは人工的に製造された鉱物繊維で、耐火性や断熱性に優れているため安全性の高い素材とされています。

一方アスベストは天然鉱物繊維で、安価かつ優れた断熱・耐火性能を持ちますが健康被害のリスクが高く現在は使用が禁止された素材です。

ここでは原料や見た目の違いを整理し、判別の参考になるポイントを解説します。

原料

引用:ロックウールとは|JFEロックファイバー株式会社

ロックウールは人工的に製造される鉱物繊維で、玄武岩や高炉スラグなどを1,500度前後の高温で溶かし、繊維状に吹き飛ばして作られます。再生資源を利用できるため環境負荷が少なく、品質も安定しているのが特徴です。繊維は比較的太く、肺まで深く入り込みにくいため安全性が高いとされています。

一方アスベストは天然に産出する鉱物繊維で、クリソタイル(白石綿)やクロシドライト(青石綿)など複数の種類があります。

自然界で安価かつ大量に採取でき、耐熱性や断熱性に優れているのも特徴です。過去には吹き付けアスベストをはじめ、建材や工業製品に幅広く利用されていました。しかし、アスベストは繊維が極めて細かく吸入されやすいため、健康被害が問題となりました。

見た目の特徴

ロックウールは灰白色から黄褐色を帯びた見た目で、繊維がやや太いため綿状にまとまったような印象です。触れるとふわふわしているがチクチク感があり、肉眼でも繊維感を確認しやすいです。施工現場では断熱材や吸音材として袋詰めや板状に加工され、多くの場合そのまま利用されます。

アスベストは種類によって色調が異なり、白、青、褐色などの繊維が存在します。繊維は非常に細く、綿のようにやわらかく一見するとロックウールと似ていますが、顕微鏡で見なければ判別は困難です。

見た目だけで判断するのは危険で、施工年代や使用場所など他の情報と合わせる必要があります

主な用途

ロックウールは、主に住宅やビルの壁、天井裏などに、断熱材や吸音材として充填されます。鉄骨建築の耐火被覆材として吹付けられることが多く、火災時には建物の崩壊を防ぐ役割を担います。そのため、ボードや吸音パネルとして加工され、公共施設やスタジオの音響対策に利用されることも多いです。

一方、アスベストはかつて断熱材や耐火材として非常に重宝され、スレート屋根材、床材、配管の保温材、自動車のブレーキライニングなど幅広い製品に使用されました。

安価で扱いやすかったため、高度経済成長期には大量に用いられましたが、健康被害が社会問題となり現在は製造や使用が全面的に禁止されています。

性能

ロックウールは人工的に作られる鉱物繊維で、耐火性と断熱性に優れた素材です。高温にさらされても変形しにくく、鉄骨の耐火被覆や住宅の断熱材として信頼されています。

吸音性にも優れ、ホールやスタジオの遮音材として使われる例も多いです。耐薬品性が高く湿気や酸にも比較的強いので長期に安定した性能を維持しやすいのも特徴です。

一方アスベストは天然の鉱物繊維で、熱に極めて強く電気の絶縁性も持っているため、建材や自動車部品に幅広く用いられました。軽量で安価、加工が容易という利点もあります。しかし細い繊維が空気中に飛び散りやすく、健康被害のリスクも高いです。

性能面では共通点も多いですが、安全性が大きな違いです。

危険性

ロックウールは繊維がやや太いため肺に深く入り込みにくく、国際的にも発がん性は認められていません。扱う際にチクチク感を覚える場合がありますが、防じんマスクや手袋を使用すれば大きな健康被害は起きないとされています。

対してアスベストは繊維が非常に細かく、吸い込むと肺の奥に突き刺さり排出されにくいのが特徴です。長期的に吸入すると石綿肺や中皮腫、肺がんを引き起こす点が確認されており、社会的にも大きな問題となりました。

現在は日本を含む多くの国で製造や使用が禁止されています。建物に残っている場合は解体や改修の際に飛散しやすいため、専門業者による処理が不可欠です。

二つの素材の危険性の差が、現在の評価と扱いの違いを決定づけています

ロックウールとアスベストの見分け方

ロックウールとアスベストは見た目が似ており、肉眼だけでは判断が難しい場合が多いです。

そのため、確実に見分けるには複数の確認手段を組み合わせる必要があります。なかでも、建材の種類や施工年代、製造年、そして公的なデータベースの利用や専門分析が重要な手がかりとなります。

以下の記事でアスベストの見分け方を紹介しています。こちらの記事も参考にしてください。

石綿含有建材データベースを確認する

引用:石綿(アスベスト)含有建材データベース

アスベストかロックウールかを判断する際、まず確認したいのが「石綿含有建材データベース」です。

このデータベースには過去に流通した建材製品の情報が登録されており、製品名や型番を検索すればアスベストの含有有無を確認できます。国土交通省と建築研究所が運営しており、公的に整備された資料であるため信頼性が高いです。

具体的には、施工現場で見つかったボードや吹付材に記されたメーカー名や型式番号を入力し、含有有無を調べます。写真やラベル情報も掲載されている場合があり、現物の確認にも役立ちます。

誤判定を避けるためにも、必ずデータベースを照合するようにしましょう。

建築物の施工年度で判断する

建物が建てられた年代もロックウールとアスベストを見分ける大きな目安になります。

日本では2006年以降、アスベストを含む建材の製造や使用が全面的に禁止されたため、それ以降に建てられた建物には原則として使用されていません

逆に1970年代から1990年代にかけては、吹付け材やスレート材などに広く利用されており、当時の建築物は高い確率でアスベストを含んでいるといえます。

例えば1980年築のビルで天井裏に吹付け材が見られる場合、アスベストの混入が疑われます。一方で2000年代以降に建てられた住宅であれば、断熱材や耐火材に使われているのは多くの場合ロックウールです。

製品の製造年で判断する

製品ラベルや製造年の刻印の確認は、簡単にできる判断材料です。

日本では昭和50年代から段階的にアスベストの規制が強まり、昭和63年(1988年)以降は吹付けロックウールにアスベストを混ぜる事例が減少しました。

しかし、平成16年(2004年)まで一部の成形板や屋根材に石綿が使用され続けた記録があるため、2005年以前に製造された建材にはアスベストが含まれている可能性があります

建築物に使われている資材が2005年以前製造なら、分析調査を検討しましょう。

ただし、調査前の段階で製品ラベルや製造年の刻印の確認が難しいケースがほとんどです。
刻印が確認ができない場合も、分析調査を検討してください。

分析調査を行う

見た目で判断できない場合や製造年の刻印が不明な場合は、分析調査が最も確実です。特に、建築物の解体工事や改修時には資格保有者による事前調査を行うことが法律で定められており、省略はできません。

分析調査は専門機関にサンプルを送りアスベストの含有の有無を調査してもらいます。分析は主に偏光顕微鏡法やX線回折分析が使われ、建材を採取してアスベスト繊維の有無を確認するのが一般的な流れです。

ロックウールのアスベストの分析調査は、アスベストジャッジにお任せください。アスベストジャッジでは、1検体12,000円+税で調査を引き受けています。即日(1営業日)の対応であれば1検体19,800円+税で調査可能です。分析調査の依頼を考えている場合は、ぜひご検討ください。

ロックウールにアスベストが含まれていた時の対処法

かつて吹付けロックウールの一部にはアスベストが混入していた事例があり、現在でも大きなリスク要因となっています。

特に、1970年代から1980年代に建てられたビルや工場では、耐火性や断熱性を高める目的で使用されていた可能性が高いです。

アスベストが含まれる吹付けロックウールは繊維が非常に飛散しやすく、厚生労働省の基準でも危険度が最も高い「レベル1」に分類されています。

この項目では、アスベスト含有のロックウールに対して、適切な対処をしないとどのような危険性があるのかや、専門業者に依頼するときの注意点を紹介します。

含有ロックウールのリスクと放置した場合の危険性

前述のとおりアスベストが混入した吹付けロックウールは、最も危険度が高い「レベル1」に該当します。繊維が容易に空気中へ飛散し、人が吸い込むと中皮腫や肺がんなどの健康被害を引き起こす恐れが高いです。

特に劣化した状態では繊維が剥離しやすく、微量でも長期的に吸入すれば深刻な影響が出る可能性が高まります。放置すると建物利用者だけでなく、清掃や補修に関わる作業員も危険にさらされます。

解体や改修の際に無防備で作業すれば、大規模な飛散事故につながるため、専門業者による調査を受け、アスベストの有無を明確にし、適切な管理や除去方法での作業が必要です。

専門業者に依頼する際の流れと注意点

アスベストを含む可能性があるロックウールを発見した場合、まず資格を持つ専門業者へ相談します。一般の人が自ら撤去や加工を行うと、繊維が飛散して周囲に深刻な被害を及ぼす危険があります

依頼の流れは大きく分けて、以下の5つの手順です。

  1. 現地調査とサンプル採取
  2. 分析機関での含有確認
  3. 処理計画の作成
  4. 養生や負圧装置を用いた除去作業
  5. 廃棄物の適正処理という段階を踏む

除去作業は厚生労働省が定める基準に沿って実施され、作業員は防護服や専用マスクを着用します。依頼者側は、業者が国や自治体の許可を持っているか、処理後に分析検査を実施しているかを確認しましょう。

まとめ

建材にアスベストが含まれているかどうかは、使用された年代や建物の着工時期から判断できます。そのうえで建築物の解体、改修時には有資格者による事前調査や報告が必須です。

特にアスベストを含むロックウールはレベル1と危険性が高く、そのあとの対応も慎重に進めなければなりません。

アスベスト調査を検討しているなら、アスベストジャッジにご相談ください。郵送による分析調査以外にも静岡県内静岡中部エリア)を中心に、現地調査や建材の採取にも対応しています。

また、アスベスト調査だけではなく、解体や片付けにも対応可能です。万が一アスベストが含まれている場合も、ワンストップでご依頼いただければ、コストや手間を削減できます。

調査を検討中の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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