アスベストの調査・除去費用に活用できる補助金は?申請方法や注意点も紹介

アスベストの調査・除去には自治体から補助金が支給されており、利用することで費用負担を軽減できます。

補助金の利用を考えているなら、どんな種類があるのかを確認しておきましょう。申請方法もチェックしておくと、実際の利用もスムーズです。

今回は、アスベスト調査・除去の補助金に関して、自治体ごとの補助金例や一般的な申請方法を紹介します。アスベスト調査で補助金の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】
・アスベスト事前調査で活用できる補助金の種類
・アスベスト調査費用の補助金の例
・アスベスト調査費用の補助金の申請方法

目次

アスベストの調査・除去で活用できる補助金の種類

アスベストの調査・除去費用に対して出る補助金は、大きくわけて以下の2種類にわけられます。

  • アスベスト調査費用の補助金制度
  • アスベスト除去費用の補助金制度

各補助金制度について、主な内容や補助額をチェックしていきましょう。

なお、アスベストの調査費用に関する詳細は、以下の記事をご参照ください。

アスベスト調査費用の補助金制度

地方自治体は、アスベスト調査に関する補助金制度を実施しています

これは、建築物にアスベストが含まれているかを調査するための費用を支援する補助金制度です。民間建築物のアスベスト調査に対して、国土交通省が住宅・建築物アスベスト改修事業として、自治体に経済援助を行う補助金制度を創設しています。

アスベスト調査の対象建築物、補助内容、補助目安額は以下のとおりです。

対象建築物吹付けアスベストなどが施工されている可能性のある住宅・建築物
補助内容吹付け建材中のアスベストを調べるための調査に関する費用
補助目安額限度額:原則25万円/棟(民間事業者などが実施する場合、地方公共団体を経由)

また、これまでは「レベル1」に該当する吹付材のみを対象としていた自治体がほとんどでしたが、令和7年度(2025年4月)からは、レベル2.3も対象に含む動きが出てきています。

さらに事後報告(数ヶ月前の分析でも)でも補助金の申請が可能なケースがあります。

このように自治体によって補助金制度の有無やルール、金額が異なるため、詳細は各市の窓口へ問い合わせると確実です。

アスベスト除去費用の補助金制度

事前にアスベスト調査を行い、除去が必要とみなされた場合は、除去費用の補助金が適用されます

民間建築物のアスベスト除去・囲い込み・封じ込めについては、調査費用と同じく国土交通省が住宅・建築物アスベスト改修事業を創設しており、各地方自治体で活用が可能です。

除去費用の補助金制度は、厳密には調査そのものに対する補助金と異なりますが、調査と除去をセットで行えば適用しやすくなります。

特にアスベストの除去工事は、高度な技術と安全管理が必要となるため、通常の解体工事と比べて費用が高額になることが多いものの、補助金を活用することで負担を抑えられます。

アスベスト除去費用の対象建築物、内容、国の補助額については、以下の表のとおりです。

対象建築物吹付けアスベストなどが施工されている住宅・建築物
対象とする費用内容対象建築物の所有者が行う、吹付けアスベストなどの除去・封じ込め・囲い込みに要する費用(解体・除去を行う場合は、アスベスト除去に要する費用相当分)
国の時補助率地方公共団体の補助額の1/2以内、かつ全体の1/3以内

アスベストの事前調査・除去工事の補助金の例

補助金の有無や内容は自治体によって異なるため、該当する自治体の要件を確認しておくことが大切です。

ここでは、静岡県内を中心に、2025年時点における自治体の補助金制度を具体的に紹介します。

  • 静岡県静岡市
  • 静岡県富士市
  • 静岡県焼津市
  • 静岡県浜松市
  • 神奈川県横浜市
  • 愛知県名古屋市

上記6つの自治体を例に、補助対象、補助額、申請期限を確認していきましょう。

静岡県静岡市

静岡県静岡市では、アスベストの有無について分析調査、除去工事をした場合、費用の一部を助成しています

補助対象静岡市内の民間建築物
補助額・アスベスト分析調査事業・当該事業に要する経費の額以内(上限25万円/建築物)・アスベスト除却等事業・当該事業に要する経費の3分の1以内(上限60万円/敷地)
申請期限申請受付中(予算に限りがあるため早めの申請が必要)

なお、静岡市における調査費用の補助は令和7年度(2025年度)で終了予定となっています。

静岡県富士市

静岡県富士市では、民間建築物で吹付けアスベストが施行されているものについて、費用の一部が助成されます

補助対象補助申請建築物の所有者又は管理者等
補助額・分析調査に要する費用の全額を補助(限度額25万円/棟)・除去等工事に要する費用の3分の2以内の額を補助(限度額は60万円/敷地)
申請期限予算の範囲内で交付

令和2年度(2020年度)で終了予定でしたが、延長となっている状態です。

静岡県焼津市

静岡県焼津市では、アスベストの分析調査、除去工事をする場合に、費用の一部を助成する制度が実施されています

補助対象建築物の壁、柱、天井等に吹き付けられた建材に含有しているアスベストの分析・調査
補助額調査事業に要する費用(限度額25万円/敷地)
除去等事業に要する費用の3分の2以内の額(1敷地あたり120万円を限度とする)
申請期限令和8年1月30日

静岡県浜松市

静岡県浜松市では、吹付けアスベストの分析調査、除去工事について補助金を助成しています。詳しくは下記のとおりです。

補助対象吹付けアスベストの使用が疑われる民間建築物
補助額・アスベストの分析調査に要する経費の10分の10以内(上限25万円/1棟)
・アスベストの除去等に要する経費の3分の2以内(1敷地あたり300万円が上限)
申請期限予算がなくなり次第終了

神奈川県横浜市

神奈川県横浜市では、吹付け建材にアスベストが含有されているか調査するための費用を全額補助する制度があります。除去が必要となる場合、費用の3分の2(上限300万円)が補助される制度です。

補助対象多数の方が利用する民間建築物・店舗、事務所、駐車場、工場、倉庫など・共同住宅の場合は共用部分のみ
補助額・吹き付けアスベスト含有調査費用の全額
・吹付けアスベストまたはアスベスト含有吹付けロックウールの除去・対策工事費用の2/3(上限300万円)を補助(消費税は補助対象外)
申請期限予算が終了次第、受付終了

愛知県名古屋市

名古屋市では、既存の民間建築物に関する吹付けアスベストの分析調査や除去工事に対して、補助金を支給しています

補助対象壁、柱、天井等に吹付け建材が施工されている建築物
補助額・吹き付け建材のアスベスト含有有無および含有の分析調査費用(上限15万円)
吹き付け建材の除去、封じ込め、囲い込み費用2/3(上限120万円)
申請期限予算が終了次第、受付終了

アスベスト調査費用の補助金の申請方法

ここでは、アスベスト調査と除去工事について、一般的な補助金の申請方法をチェックしていきましょう。

アスベスト調査の補助金の申請方法

アスベスト調査の補助金を申請する際の、一般的な流れは次のとおりです。

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.事前相談

まずは、自治体の窓口に事前相談をします

事前相談の窓口は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。例えば静岡市の場合は、建築安全推進課の窓口で相談を受け付けています。

相談の際は、対象となる建物の地図や図面、現状がわかる写真、必要であれば事前相談書などを持参しましょう。

2.補助金の申請書の提出

自治体の定める様式に従って補助金の交付申請書を作成、提出します

申請書とあわせて、見積書、計画書、契約書、建物の登記簿などの提出が必要となるケースもあります。事前に必要書類を自治体へ確認しておくことが大切です。

静岡市の場合、事前調査の補助金交付に必要な書類は以下のとおりです。

(1)補助金交付申請書(様式第1号)
(2)建築物の所有者が確認できるもの
(3)建築物の建築年月日及び用途が確認できるもの
(4)写真(建築物の全景、対象部位及び状況が確認できるもの)
(5)図面(案内図、配置図、各階平面図、立面図、断面図など)
(6)アスベスト分析調査事業費の見積書
(7)分析調査者が建築物石綿含有建材調査者であることを証する書類
など

参考:静岡市民間建築物吹付けアスベスト対策事業:静岡市公式ホームページ

補助金交付申請の内容が適正であれば、後日交付決定通知書が送られてきます。

3.調査、報告書の作成

交付決定通知を受けたら、アスベスト事前調査を実施します。くわえて、調査完了後には実績報告書の作成が必要です。

実績報告書は自治体で定められた様式に従うとともに、請求書や領収書などの必要書類もそろえておきましょう。

4.報告書の提出、補助金の受け取り

実施報告書、請求書、領収書など、自治体ごとに定められた書類を提出し、結果を報告します

その後、最終的な審査を経て、補助金が正式に交付される流れです。

アスベスト除去工事の補助金の申請方法

アスベストの除去工事の補助金の一般的な申請手順は、以下のとおりです。

こちらも、各手順ごとに詳しく見ていきましょう。

1.事前相談

除去工事の場合も、アスベスト調査と同じく、自治体の窓口に事前相談が必要です。

静岡市の場合は、建築安全推進課の窓口で除去工事の補助金に関する相談を受け付けています。事前相談窓口は自治体によって異なるため、確認しておきましょう。

対象の建物の地図や図面、現状がわかる写真、必要であれば事前相談書などもあわせて持参します。

2.見積書の徴収、申請書の提出

除去工事の補助金も、自治体の定める様式に従って交付申請書を作成、提出しましょう

静岡市の場合、除去工事の補助金交付に必要な書類は以下のとおりです。

(1)補助金交付申請書(様式第2号)
(2)アスベスト分析調査結果報告書
(3)建築物の所有者が確認できるもの
(4)建築物の建築年月日及び用途が確認できるもの
(5)写真(建築物の全景、対象部位及び状況が確認できるもの)
(6)図面(案内図、配置図、各階平面図、立面図、断面図など)
(7)アスベスト除却等事業費の見積書
(8)アスベスト除却等事業に関する計画書(調査者が記名押印したものに限る)
(9)事業計画策定者が建築物石綿含有建材調査者であることを証する書類
など

参考:静岡市民間建築物吹付けアスベスト対策事業:静岡市公式ホームページ

除去工事の申請では、事前に施工業者から見積書をもらう必要があります。また、このタイミングで業者と契約すると補助金制度の対象外となってしまうため、契約に進まないよう注意しましょう。

補助金交付申請の内容が適正であれば、後日交付決定通知書が送付されます。

3.工事、報告書・請求書の作成

交付決定通知を受けたら、業者と契約を結び、除去工事を実施します。工事完了までの期限を設けている自治体もあるため、可能な限り早めに着手し、期限内に終わるよう進めましょう。

工事完了後には完了実績報告書を作成し、あわせて補助金交付請求書の準備も行います。

4.報告書・請求書の提出、補助金の受け取り

実施報告書、請求書、領収書など自治体ごとに定められた書類を提出し、結果を報告します

最終的な審査が行われ、問題が無ければ補助金確定通知書が送られて補助金が交付されます。

アスベストの調査・除去で補助金を申請するときの注意点

補助金を申請する際、手順や必要書類にミスがあると正しく助成を受けられない恐れもあります。補助金申請に関する注意点を事前に確認しておきましょう。

スムーズに申請を完了し交付を受けるために、4つの注意点を紹介します。

申請条件は事前に確認しておく

アスベストの調査・除去の補助金は、自治体によって支給要件や上限額などの条件が異なります。不安な方は事前に詳細を確認しておきましょう。

また、自治体による相違だけでなく、年度によって支給ルールが変わっている可能性もあります。そのため、最新の要件をチェックすることが大切です。

申請条件は、自治体のホームページや事前相談の際に窓口で確認しておくとスムーズです。

必ず調査前に申請する

補助金申請の流れを確認し、必ず事前調査を実施する前に補助金を申請します。

事前の申請が必要にも関わらず調査後に申請してしまうと、補助金制度の対象外になり、支給されません。補助金を利用したい場合、事前に申請をして交付決定通知を受けてから調査を行いましょう。

スムーズに申請から交付までを完了させるには、申請から受給までの流れを確認し、不備がないよう準備しておくことが大切です。

必要な書類はそろえておく

補助金の申請には、申請書だけでなく、見積書、計画書、契約書、建物の登記簿など、さまざまな書類が必要です。ホームページや事前相談の際に、必要書類の内容を確認しておきましょう。

例として、静岡市での申請において必要となる書類を下記にて紹介します。

  • 補助金交付申請書(様式第1号)
  • 建築物の所有者が確認できるもの
  • 建築物の建築年月日及び用途が確認できるもの
  • 写真(建築物の全景、対象部位及び状況が確認できるもの)
  • 図面(案内図、配置図、各階平面図、立面図、断面図など)
  • アスベスト分析調査事業費の見積書
  • 分析調査者が建築物石綿含有建材調査者であることを証する書類

また、調査実施後には結果報告書や領収書などの提出が求められます。書類不備で助成が受けられない事態にならないよう、自治体に必要書類の内容を確かめておきましょう。チェックリストを作成したり、複数人で確認したりして、ミスがないようにすることが大切です。

補助金は調査費用の支払い後に支給されることを理解しておく

アスベスト調査終了後、補助金交付前に一度支払いを済ませる必要があります

補助金は調査費用の支払い後に支給される流れです。事前調査と支払いが完了したのち、領収書などを添付して結果報告を行い、それをもとに審査をして補助金が支給されます。

そのため、先に支払いを完了させなければならず、全額立て替える支払い能力が必要です。交付までに時間がかかる可能性もあるため、補助金に頼りすぎず余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

まとめ

アスベストに関連する費用に対して出る補助金は、調査費用と除去費用の2種類にわけられます。

いずれも自治体から交付しており、実施の有無や金額、条件などが異なります。各自治体で補助金に関するホームページや相談窓口があるため、アスベスト調査・除去を検討している方は事前に確認しておきましょう。

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